彰だって…



「彰は…?」


「え?俺??」



私が聞くと彰はすっとんきょんな声を出して、びっくりしてる。


そうだよ。

彰なんて私と別れてから、何人も噂を聞いたよ。


新一年生のエミとハルカ

タメのアズ

三年の樋口先輩に

あと、杉原。


昨日は誰と居たとか、誰と親密に話してたとか…


それを聞く度に、彰がムカつくって思ったよ。



…思い出したら、またムカついてきた。



「彰なんて、色んな子とあっちこっちで仲良くしてんじゃん!」



突然声を荒げた私を、更にびっくりした顔で見る彰。



「愛果…誤解だって…。
俺は、お前と…やり直したい。」



彰は私の腕を掴んで、自分の胸に引き寄せた。


久しぶりに感じる彰の体の温かさ。

胸が苦しくなる。

でも声になるのは、そんな想いとは別の言葉。



「放してよ。
誰にだってしてるくせに…。」


「だから誤解だって…。
信じてよ…。」



彰はそう言って、私を抱き締める腕に力を入れた。