-蓮 side-
「実来･･･泣いてんのか･･」
実来が、俺の過去の話を聞いて泣いていた。
これはどういう意味なんだ。
それは、実来の次の言葉でわかった。
「今まで･･･っ一緒･･ｯに居たのに･･こんな苦しんで･･･ｯいたんですね･･気付かなくて･･ごめんなさい････ｯ」
俺を想って泣いてくれている････。
例え同情だとしても嬉しかった。
俺は、実来を抱きしめた。
こんなに愛しいと思ったのは初めてだ。
離したくない。
実来だけは、離したくない。
そう思ったのは確かだ。
俺は、実来の涙を手で拭い、桜子のところに振り返った。
桜子は、ちょっと沈んだ顔で俺を見た。
「見て分かるように、今の俺にはこいつが全てなんだ。俺は、こいつを裏切る事は出来ない。だから、兄貴と桜子とももう二度と関らない･･こいつを悲しませたくないんだ」
「蓮･･･」
「だから、もうこれ以上俺の目の前に現れないでくれ」
「ﾌﾌ･･･蓮の過去を話せば、その子もちょっとは蓮の事諦めてくれるかなって思ったけど、そう簡単じゃないのね･･蓮はもう、違う人になっちゃったんだね」
「･････････違う」
「実来･･･」
実来が急に話出した。
