「それは、俺が兄貴の会社に行った時に、聞こえてきた兄貴と桜子の会話だった」


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『悪いな・・桜子。俺が相手してやれなくて』


『ううん・・大丈夫よ。今は私には蓮がいるから、蓮がこの寂しい気持ちを埋めてくれるから』


『そうか・・俺の仕事が落ち着いたら、2人で旅行に行って、2人でマイホームでも買って・・幸せに暮らそう』


『その時は、私をちゃんと愛して、幸せにしてくれる??』


『もちろんだ』



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「結局、桜子も知っていて・・俺の身体を、寂しさを埋めるだけの道具に使っていただけって事だ」


「それは違うわ蓮・・・私は蓮をちゃんと愛していたわ・・その事は何度も謝ったじゃない・・だけど、私には本当に蓮が必要だったの・・」


「今回俺を探していたのだって、兄貴が長期出張に出たからだろ・・また俺を利用しようとしてるんだろ・・お前らの考えることはくだらないからすぐわかる」


「私は蓮を今も愛してるの・・」


「俺じゃなくて、俺の身体だろ??・・・」




先生は、桜子さんを睨んで言った。


先生にそんな辛い過去があったなんて・・・




「実来・・これが俺の過去だ。引いちまったか??・・・・っておい」


「岡田様・・・」




先生の話を聞いて、私は悲しかった。


胸が痛かった。


涙が・・・止まらなかった。