私は小さく頷き、帰り支度の準備をした。
すると、桜子さんが言った。
「あら・・どうして蓮??教えてあげたらいいじゃない・・蓮の・・過去」
「桜子・・いいかげんにしろよ」
「どうして??彼女、実来ちゃんはあなたの過去を知らないと言ったわ・・でも・・・とっても知りたそうな顔してたわ」
確かに、私は知りたいって顔してたのかもしれない。
だけど、知られたくない過去なら・・私は無理には知ろうとは、考えてなかった。
けど・・・。
「きっと・・蓮の過去を知ったら、実来ちゃんもショックを受けると思うわ・・蓮を、嫌いになっちゃうかもねっ・・・そしたら蓮は・・・また一人ぼっち・・私が愛してあげるの」
「桜子・・・お前って女は・・」
この人、何言ってるの??
いったい、先生の過去に何が・・。
それに・・この桜子さんの勝ち誇った顔に、腹が立った。
「実来、こいつの話は聞くな・・さっさと行くぞ」
「私、先生の過去・・知りたい」
「おい・・実来」
私は決めたの・・
先生が困ってる時は助けてあげるって・・。
先生の事は裏切らないって。
だから、何があっても・・先生の事は嫌わない。
味方で居るの。
先生の過去を聞いても、私は・・・先生を嫌いにならない。
半分、意地だったのかもしれないけど、先生の過去を聞いたところで、桜子さんの思い通りになるのが嫌だったから。
先生の全てを知りたいと思ったから・・・。



