ケンはショーの裏方を主に担当している…が、昨日はレッド役をやった

身長もあるし、体つきもいい

だからもっとスーツアクターをやればいいのに、ケンは嫌がる

まあ、熱いし、汗でぐちょぐちょになるし、ショーまでの練習もきついから、やりたがらない理由はわかる

でも私は、逆にそれが気持ちがいいのだ

最高に幸せ

本当は、テレビに出るようなスーツアクターになりたい

仮面ライダーの中に入っている高岩さんに憧れている

でも…現実は厳しい

女はライダーの中に入れないし、ライダーの作品に出られたとしても、敵役だしね

私は頭をがしがしと掻きながら起き上がると、上半身裸のままの男を見つめた

「あのさあ…仮にも女の寝室に入っておいて、その格好はないんじゃない?」

「だってリンの部屋って暑いっすよ」

「悪かったわね。寒がりなのよ」

「じゃあ、スーツの中は温かくていいっすね」

「そうよ。暑くてもいいから、上着を着てよ。まるでエッチしたみたいじゃない」

「一回シたっすよ」

けろっとした表情でケンが言った

「立たないくせに、偉そうに言わない!」

「気持ち良かったでしょ?」

「指は…ね。いいから早く着てよ」

ケンが唇を尖らせながら、シャツを羽織った

また私の仮面ライダーグッズに目をやった

「しかしよく集めたっすね」

「いいでしょ。私の趣味なんだから」