夏休み。






それは誰もがワクワクする響き。











そう思っていた。去年までは。
















『ひーまーだぁ!!!』






毎日のように、そう部屋の中で叫ぶ。











『暇暇暇暇暇暇暇暇ひーまー!!!!
死ぬ死ぬ死ぬー!』







「うっっざ!!黙れ!」








下から、亜由(あゆ)が怒鳴る。




亜由とは、お兄ちゃんの名前だ。
よく、女の子みたいと言われてる。










自分で言うのもなんだが、うちはちょっと広い。


一階は、リビング、キッチン、和室、客間、無駄に広い玄関とトイレと風呂がある。
二階は、あたしの部屋、亜由の部屋、もうひとつの客間、そしてベランダがある。






結構、亜由のいるリビングとあたしの部屋は離れてるのに、声が聞こえるという事は、そうとうな声の大きさだったんだろう。






あたしはお腹が空いたので、渋々一階に向かった。


















「お前さぁ、うざいんですけど」






『だって暇なんだもん』







「外出ろよ!!ヒッキーかよ!」




『だって!友達いないんだもーん!』






今年の夏休み、愛は家族旅行で、夏休み終わる直前までいない。
ナミは、大祐君とラブラブデートで滅多に遊べない。
麻由は、バイトバイトバイトで、忙しい。








だから一人。