それからは、なんでもうまくいった。



今までの絡みあった糸が嘘のようにすっとほどけていくように。


あの女の子のこと


久保田睦月のこと



夏惟の親友の隼人くんが全て教えてくれた。



あの女の子は沙希ちゃんっていって噂通り夏惟の婚約者だったらしい。



でも、沙希ちゃんは夏惟のこと好きだけど夏惟は違うって薄々気づいていて。


小さいとき、怪我をして歩けなくなってしまった沙希ちゃん。


そして、そのとき一緒に遊んでいた夏惟が責任を感じて親同士が持ち出した結婚の話を引き受けたということにも気づいていたという。


そして、それに責任を感じていたという。



最後、沙希ちゃんは夏惟に泣きながら言っていた。



「好きだから離したくなかった…、ごめんね?夏惟のせいじゃないよって言ってあげれなくて…っ…ウッ」




…と。




そして、久保田睦月のことは全て嘘。



沙希ちゃんから、相談を受けていた隼人くんが思い付いたらしい。



話終わり得意気に「俺の演技サイコーだったろ?」と言った隼人くんにみんなで笑った。