あなたがいてあなたといて【短編】



「花音は、久保田睦月が好きなのか?」


「え?」


「とにかくアイツだけは止めとけよ!今すぐ別れろ!」



俺は冷静でいられずつい命令口調になる。


「ちょっ!待ってよ…わかんないんだけど」



「わかんなくねぇだろ?久保田睦月だけは止めろよ…」


「…さっきから変だよ、夏惟」



泣きそうな顔をする花音。


そうだよな、自分の彼氏を侮辱されて嬉しいやつなんていないよな。


勝手に突っ走って、俺は花音を傷つけることしか出来ないのか?



「ごめんな、花音」


俺は花音を掴んでいた手を離した。


そして、力なく座り込むと小さく呟くように話す。



「今ごろ言われたって困ると思うでも、俺さ、まだ…」



「…ん」



「…花音が、好きなんだ」