−夏惟SIDE−



「笑って?」



そう言って笑う君。


悲しすぎる笑顔。


そんな顔させてるのは俺か…



虚しいな、情ねぇな、俺。


大事な女も守れず傷つけるばかりで、中途半端。


こんな中途半端な俺の優しさは花音を傷つけるだけだって分かってる。



でも、花音が離れていくのが怖いんだ。



花音が、自分の前からいなくなるなんて考えられないんだ。



もう、六年前みたいになりたくない。



結局は自分のため、なんだ。



でも、花音はまた笑って


「笑ってってば!あたし、夏惟のこと忘れるって決めたから!だから、夏惟の笑顔がみたい…もう、あたしに向けられないでしょう?」



そう言うんだ。