あなたがいてあなたといて【短編】



それから、夏惟と話すことが多くなった。


仕草も笑い方も匂いも昔のまま。


夏惟といると落ち着くよ。

夏惟といると幸せだよ。


そのせいで、一部の女子からの嫌がらせにあった。

そんなの耐えられる。


でもね、夏惟…


あたしは、たまにギュって胸が締め付けられるの。


放課後、急いで教室を出ていく夏惟。


ねぇ?どこに行っているの?


あの子に会いに行っているの?



―――――――ねぇ


「…行かないで」


ずっと、傍にいてほしい。

あたしは、気づくと急いで教室から出ようとする夏惟を引き止めていた。


「ぁ…ごめん…なんでもない」


慌てて、首を振って謝る。

ダメだよ…ワガママ言ったら


わかってるのに、


わかってるのに


なんでこんなこと言っちゃったんだろう。


昔みたいに話せるだけで幸せじゃん


うん…すっごく幸せ。


でもね、でも…



やっぱり、辛いよ。



「ぁ…あたしっ…夏惟が…ヒッ…す、きなの…だいすき…」


だいすきなんだよ。


もう、この想いは止められないの。