あなたがいてあなたといて【短編】



次の日、


「「ねー!」」



妙に騒がしい。



特に女子。


夏惟の周りに集まっちゃってさ…


それは、いつものことだけどいつも以上にっていうか…



夏惟、すっごく迷惑そう。


「夏惟君って彼女いるの?昨日見たって人がいるんだよぉ!」


「そう、そう!車椅子の子!」


口々に嘘だよね〜


って、周りの女子が言っている。


それを迷惑そうに聞いている夏惟。


どうにかしなくちゃ…!


そう思ったあたしは咄嗟に「先生来たよ」なんてすぐにバレる嘘をついてしまった。


そのあと、すぐに先生が来たからいいものの。


来なかったら、ヤバかった…


安生のため息をついて、チラッと夏惟のほうを見る。

すると、いつもはボーッと前を向いている夏惟がこっちをジーと見ているし!


何々?!


あたし、なんか変…?


わたわた慌てるあたし。

夏惟は、そんなあたしを見てクスリと笑うと


「昔と変わんねーな、花音は」


って…


しかも!花音だってよ!


ちゃんと、覚えてくれてた!


嬉しすぎるよー



「う゛〜」


「えっ?!おい?」


いきなり、泣き出すあたしに夏惟は慌てて涙を拭ってくれる。


「う゛れしくで〜!」


もう、嬉しすぎます!!