俺様のカゴの中

留宇が皿を片づけて、もう家を出る時間。



まだ沈んだ顔は晴れないまま。



「腕出せ。左腕」

「腕…ですか?」

「留宇には似合わねぇな…」

「コレ…」

「やるよ。アメジストだ」

「アメジスト…?」

「まぁ…気休め。意味は自分で調べな」



淳平が作ったパワーストーンのブレスレット。



他にも山のようにあるけど、コレは確か邪気を払ってくれるとかって意味だった気がするから。



留宇の身にはなにも起こらねぇように。



「ありがとう…ございます」

「貸すだけ。元気になったら返せよ?」

「えっ?」

「ウソ。行くぞ」



留宇の腕には似合わない大きさのアメジスト。



少し小さいのを淳平に作ってもらうか…。



助手席に留宇を乗せ、道案内させた。



少しだけ声のトーンが上がってる気がするのは気のせいだろうか。



「平気か?」

「なんか元気出ました。雷さんのおかげです」

「俺は何もしちゃいねぇ」

「いるだけでいいんです。存在するだけで…」



ここで深く追求すりゃあ留宇は話し出すだろう。