俺様のカゴの中

その言葉がいつまでも耳に残っていて、次の日は寝不足。



虎宇に目の下のクマを指摘されるほど。



嬉しすぎてあんなに眠れなかったのなんて初めて…。



「留宇、お料理始めたの?」

「花嫁修業っていうか…」

「いい心がけね。シェフに教えてもらったらいいのに」

「大丈夫!!こ、虎宇がレシピソフト買ってくれたから…」

「お母さんにも見せてちょうだい?」



なんだろ、この違和感…。



笑顔より無表情な顔の方が多かった母が笑ってる…。



楽しそうな笑顔なんて…何年ぶりに見たんだろう…。



「すごいのね、今のオモチャって」

「すごいよね」

「留宇、お母さん…アメリカに戻ろうかと思ってるの」

「えっ?」

「虎宇には内緒よ?ステキな人に出会ってしまったの…」



まさかの真実。



母が…恋をしました。



父は月に1回も帰らずに家族を放置。



子どもの世話は全部母に押しつけた。



その母にガチガチに堅いカゴの中で育てられ、世間知らず。