部屋に戻ってしばらく、虎宇がやってきた。



「予想より早いし」

「早かったね…」

「雷さんのことは絶対バラしちゃダメだぞ」

「わかってる…」

「どうすんの?これから」



これから…。



そうか、虎宇は助けてくれないんだ…。



自分でどうにかしなきゃダメだってことは…少しだけ雷さんから学んだ。



「がががが、頑張りゅ!!」

「すでにガチガチじゃん!!噛むなよ!!」

「は、初めて反抗するから…ドキドキ…してきたよ…」

「出るんでしょ?カゴから」



そうだ。



出るんだよ、自分の力で。



リビングに行くとお母さんが優雅に紅茶を飲んでいた。



「お、お母さん…」

「あら留宇。紅茶飲む?」

「ううん、話が…あります…」

「なにかしら?」

「と、友達と遊びに行っても…いいかな?」

「どんな友達?」



喉が渇いて来た。



緊張してうまく声が出ない。



「クラスの…子たち…」

「留宇もそんな歳なのよね」

「えっ?」

「時間は守りなさい。タイラを連れて行くのよ。いいわね?」

「ありがとう…」



ビックリ…。