俺様のカゴの中

【雷】



気まぐれかもしれない。



駿があんなこと言ったからでは決してない。



今日顔を見たらなんとなくそう思ったから。



「雷さんの車だぁ…」



キラキラした目をした留宇を助手席に乗せたのは2回目。



仕事だから返そうかと思ったら留宇が寂しそうな目をしたから連れて行くことにした。



バックミラーに映るのは留宇のボディーガードが運転する車。



マジでどこまでも着いて来るんだな…。



「今から行くとこ、この前の店じゃねぇから」

「どこですか?」

「趣味で出したショップ」



留宇をクラブに連れてったらマズいだろ。



さすがに高2のガキをオーナーが連れ回してたら引かれるっつーの。



基本的に俺は経営側で店に立つわけじゃないから顔を出さなくても仕事はできるけど。



自分の店だから行かなきゃ気になる。



でも今日は留宇が同伴だからクラブは無理だ。



「ボディガード、産まれた時から着いてんのか?」

「違います。お母さんがいないので今だけです」



今だけ…。