俺様のカゴの中

そんなこと考えたってわからない。



考えることをやめて眠った次の日、夕方に虎宇と家を出た。



前に行った倉庫でも、雷さんのクラブでもない。



個室のイタリアン…。



「清水君は病院の息子。秋野君は親がデザイナー。高崎君は食品会社の御曹司ね」



みなさんお金持ち…。



虎宇もいつもと違って笑顔。



あたしから見るとかなりウソっぽい笑顔だよ…。



「留宇ちゃん、虎宇に似てないね」

「そう…ですか…？」

「僕、タイプだな」



あたしはイヤ…。



イヤだけど虎宇の立場…。



「ありがとう」

「カワイイね」



雷さんなら絶対言わないような言葉をサラリと言ってのける秋野君。



こんな時はどうしたらいいの？



「お父様がデザイナーさんなんですか!?」

「両方。いまだにライバル同士だけど」

「そ、そうなんですか…」



話が膨らまない。



なにを話しても…楽しくない…。



ケータイの番号は全員と交換した。