俺様のカゴの中

タイラを諦めた時だった。



内線が入り、出たら深見。



「アポはないのですが…社長の父と名乗る方がエントランスに…」

「父…?」

「氷流様と仰ってます」

「なんでっ…」

「お会いになられますか?」

「あぁ、面倒起こされたくねぇから。社長室まで」



なんで親父が…。



どうやって俺の居場所を…?



憎んでいた男が自ら会いに来ると考えたら手が震えた。



しばらくしてやってきた深見。



俺は窓の外を見ていてなかなか振り向けない。



「どうぞ、こちらへ」



どうやら深見がソファーに案内したらしい…。



口の中が渇く…。



何を話したらいいんだ…。



「コーヒーとジュースをお持ちいたします」



ジュース…?



不思議に思って振り返ると、そこにいたのは昔よりも小さくなってる親父と…ガキ。



「立派になったな、お前」

「今更…何の用だ」

「自分を捨てた親にはつめてぇな、雷」

「親?誰のことだよ。まさか自分が俺の親だとでも思ってんのか?」

「思っちゃいねぇよ。俺はお前を捨てたからな」



何しに来たんだ…。