放心する松居に背を向け、留宇を車に乗せた。



どうせ頑固な留宇だからバイトをやめるなんて頭にない。



逆の立場で考えると、今留宇の立場を悪くするのは社会人として耐えられない…。



いちばんいい方法を取ったつもり。



「フゥ~…」

「雷さん…?」

「わりぃ、家まで構うな」

「うん…」



口を開けば留宇を攻めそうで話したくない。



黙ったまま、家についてやっと安心した。



「ごめんなさい…」

「なんか悪いことしたから謝ってんの?」

「してないけど…」

「なら謝る必要なんてねぇ」

「そうだ…ね…」



大人げなかったか?



でもあれが俺の精一杯だ…。



「メシ食え。腹減っただろ?」

「松居さんのことっ!!なにも聞かないの?」

「信じてていいって前にも聞いてる。だから俺は留宇を信じんの」

「ありがとう…。雷さん、大好きだよ?」

「ん…」



抱きついてきた留宇を抱きしめた。



誰かに取られそうで怖い…。



俺の留宇なのに…。