俺様のカゴの中

慌てて雷さんの元へ駆け寄った。



「バスルームに指輪なかった!?」

「さぁな」

「どう…しよう…」

「なくしたか」

「違う!!見つかるまで探すからっ!!」



バスルームに戻り、くまなく探すも見つからず…。



洗い物で外した?



キッチンを探しても指輪なんて出てこない。



ウソ…でしょ…。



涙が次から次へと流れ落ちる。



雷さんが選んでくれた指輪なのにっ…。



結婚1ヶ月でなくしたなんて言えないっ…。



しゃがみ込んで泣いていると、目の前で止まった足音。



顔を上げると雷さんが小指にあたしの指輪をしていた…。



「なんっで…」

「起きたらいねぇし、指輪は放置されてるし。焦って電話すりゃあ帰んねぇとか言って切るし。意味わかんねぇ」



雷さんの困った顔なんて初めてに近いかもしれない…。



目線を同じ位置まで下げた雷さんはため息をついた。



「別れてぇの?」

「えっ?」

「どんな理由でも別れる気なんてねぇけど。お前が何を思ってんのかわかんねぇ」



不安…なの?