笑って頷くと、キラも笑顔になった。



「ねぇ雷、あたしの本名覚えてる?」

「あぁ」

「最後に…呼んで?」

「じゃあな…美月…」

「大好きだったよ。バイバイ、雷」



俺の頬にキスをしたキラは満面の笑みで部屋を出ていった。



大好きだったって…結局過去形じゃん。



振られたみたいな虚しさと寂しさがこみ上げた。



いい恋して、いいヤツと結婚して。



それでいい女になれよ…。



玄関からバスルームに向かい、キラの痕跡を消すようにシャワーを浴びた。



俺も前に進み続けなきゃ。



立ち止まるのは俺らしくねぇから。



シャワーを浴びた後、着替えて向かった自分の店。



「おはようございます!!」

「今日はやべぇだろうから気合い入れてけよ~」

「はい!!」



何をしたいのか、何になりたいのか。



そんな明確な目標なんて持っちゃいねぇ。



でも俺はいつまでも真っ直ぐ歩ける男になりたい。



だから俺は前に進む。