【留宇】



あの日から心がどこかへ行ってしまったみたい。



あの夜は夢だったんじゃないかと思うくらい。



缶ジュースとペットボトルのジュースを初体験。



そしてお酒は飲めないくらいマズいモノだと知った。



それと見知らぬ部屋で寝たのも初めて…。



机の引き出しにカギをかけて、持ち帰ったお菓子を隠した。



虎宇は好きな時に食べられるのかな?



あたしにはそんな自由なんてないから。



「お嬢様、奥様がお呼びです」

「今行く」



虎宇に買ってもらった服も雷さんのお店に置いてきた。



次はいつ行けるかな…。



あの日は虎宇と友達の家のホームパーティに行ったことになっててちょっとおもしろかった。



お菓子の賞味期限が切れる前に食べに行きたいのになぁ…。



「お母さん?呼んだ?」

「留宇、大事な話があるの」



イイ予感なんて全くしない。



『大事な話』は基本的に吉報ではなく凶報に近いことをよく知っているから。