虎宇は男子校、あたしは女子校。



あたしも虎宇も有名な進学校に通っている。



心を開いて何でも話せる友達なんて今までいたこともない。



バカみたいに作り笑い。



学校生活は偽りの自分の居場所。



家では静かでおとなしいお嬢様を演じ、服も髪型ですら母親の趣味。



本当のあたしはどこにいるんだろう…。



「なんだかよくわかんないけど元気出しせよ、留宇」

「どこか行くの?」

「友達んとこにちょっと」



虎宇には友達がいる…。



あたしの知らない虎宇の世界。



同じ日に産まれ、同じモノを食べて同じ家で育ったのに。



あたしは虎宇の世界を全く知らない。



「ねぇ、あたしも連れてって?」

「えっ…?本気?」

「ダメなら家にいるよ…」



何かを変えたかったのかもしれない。



よく言えば新しい自分探し。



悪く言えば親の知らない世界への旅立ち。



なんだかそんな気がした。



「ダメ」



やっぱりあたしはカゴの鳥…。