【留宇】



ある日突然タイラさんがやってきた。



「一緒にいらしてください」

「どこへ…?」

「お嬢様のお父様からの指示です」

「まさか本当に…?」

「手荒なことはしたくないので。行きましょう」



よくしてくれたタイラさんに迷惑をかけるのはイヤだ…。



でも今から起こり得ることはもっとイヤ!!



「タイラさん…あたし行かないっ…」

「お嬢様の気持ちはわかります。しかし逃げることはできませんよ?」

「だって行ったら結婚しなきゃならなくなるっ…」

「往生際が悪いです。お嬢様がアメリカへは行かないとおっしゃったんではなかったですか?」



そうだけど…知らない相手との結婚なんて望んでない…。



「私ではなく社長に抗議してください。私はただあなたをつれてくるように言われてるだけですので」



そうか、タイラさんに迷惑がかかるのか…。



もしかしたら耐えられなくて泣いてしまうかもしれない。



これが最後だと思って父に反抗しよう。