このタイミングで帰ってきたと言うことはきっとあの話だ…。



虎宇の部屋にふたりでこもり、しばらく無言だった。



「虎宇はお父さんにいつ会ったの?」

「いつだったかな。会社に来いって言われた時だから…半月前?」

「どうして会社に?」

「取引先の社長に顔見せに行っただけ」



そんなことしてたんだ…。



やっぱりあたしの知らない虎宇がいるみたい…。



「どうして帰ってきたのか知ってる?」

「留宇の方が知ってんだろ?」

「えっ…?」

「俺が知らないとでも思った?母さんが父さんと別れたいってこと」

「じゃあ虎宇は…」

「アメリカでなにがあったかなんて、俺には全部筒抜けだから」



どうして!?



虎宇って…何者?



「タイラさんといいお母さんのことといい…虎宇はなにをしてるの?」

「タイラがどうして俺の言いなりなのか知りたい?」

「うん…」

「タイラは俺の夢に賛同してくれてるから」

「夢?」

「今の会社じゃこの先やってけない。古いんだよ、あの人は」



虎宇の未来予想図を初めて聞いた…。