疑問だらけの私にカンゾウさんはそのまま言葉を続けた。

今から10年前の事。

レーノ達一家はレーノが生まれる以前から、此処をよく訪れていたらしい。

やはり近くの町だからって言うのもあるかもしれない。

その頃のレーノはやんちゃで元気な男の子だった。

(今もやんちゃで元気だとは思うけれどね)

そんなレーノを彼のお父さんはたいそう可愛がっていたみたい。

当時レーノにはお気に入りの場所があった。

それがこの場所にあった大木。そこの天辺から見る景色は、

小さなレーノからすれば迫力のある壮大な景色だったと思う。

当時のレーノはツキシロさんが止めるのも聞かずに、何度も何度も登っていたみたい。