「やっぱり東京も冬は寒いんだね。」
私はぶるっと震えた。
「そう?うちらんとこに比べたらマシだよ。」
確かに、北から降りてきた私達にすればそこまで寒くはなかった。
何も考えずに1泊2日の旅行を思い立った私達は、もちろん宿なんてとっておらずマンガ喫茶で一晩過ごすハメになった。
これは果たして旅行というのだろうか。
とにかく私達は東京の渋谷、原宿、秋葉原というとりあえず名前を知っている所を電車で動き周り、最終的に新宿のマンガ喫茶に辿り着いた。
「麗華、高校卒業したらどうすんの?」
「うーん、とりあえず大学はいっとくかな。具体的には決めてないけど。悠紀は?」
悠紀は目を閉じたまま口を動かした。
「なーんも考えてない。」
「そんなんで大丈夫−?」
「なるようになるんじゃない?」
悠紀は笑った。
結局爆睡した悠紀とは打って変わって私は全く寝つけず、浦安鉄筋家族シリーズを読みあさった。
次の日マンガ喫茶を出た私達は、とりあえずディズニーランドの外観だけを見に行って帰った。