卒業した私達は、たくさんの愛に支えられていたことを改めて感じた。


卒業式を無事に迎えられたのは、

たくさんの人の愛。




両親からの愛。


姉からの愛。


そして、友達からの愛。





卒業式の後、先生がプレゼントしてくれた赤い車に乗って、

お世話になったみんなに『ありがとう』の気持ちを伝えに行った。


涙ぐむ両親と、それを見て笑うお姉ちゃん。

冗談を言いながらも、お姉ちゃんの目には光るものがあったんだ。



教師である先生との恋愛を許してくれたお父さんとお母さん。



何度も泣いて、別れてしまった私達をずっと影で支えてくれたお姉ちゃん。


先生のおかげで初めて本当の意味で姉妹になれた私とお姉ちゃん。

お姉ちゃんとの間にあった大きな分厚い壁はいつの間にか消えていた。



そして、大事な親友であるゆかり…

ゆかりがいなければ、今…笑うことが出来なかったかも知れない。

自分のことのように、一緒に悩んで、泣いて、支えてくれた。


ゆかりにも会いに行こうと思ったのに、なかなか連絡が取れなかった。

後から知ったことだけど、ゆかりは彼氏であるたっくんと

音楽室の隣の視聴覚室にいたらしい。


今まで本当に迷惑ばかりかけて、心配ばかりさせて、ごめんね…



やっと会えたゆかりの胸で泣いた。


2人にしかわからないたくさんの思い出が甦る。






初めて、先生を好きだとゆかりに話した日のことや、

友達の依子が先生を好きだと言った日のこと、先生から別れを告げられた日のこと…



いつもいつも私の隣にいてくれたのは

ゆかりだったね。



ゆかりだけが知っているたくさんの私の涙。




みんなへのお礼を終えた私と先生は、卒業祝いに食事をした。



もう隠れなくていいのに、


やっぱり癖になっていて、高校の制服を見ると隠れてしまった。


そんな日々は結構長く続き、私達は堂々とデートができなかった。