「ごめん…先生は、ただ優しい先生なだけなのに…」



私を抱きしめる腕の力を緩めようとしない先生は、

何度も何度も謝った。



私が弱いから…

私が子供だから、先生を悩ませてしまう。




でもね、ちゃんと壁を作って欲しかったんだ。

先生の周りに見えない壁を作って、先生の心の中に誰も入れないようにして欲しいんだ。



そうじゃないと、私は不安で不安で…


何をしていても、先生のことが心配で仕方がないんだよ。




強くならなきゃ…私。



先生の奥さんになるんだもん。

相当の覚悟がないと、やっていけないね。



何十年もの間、先生を想う見えない影と戦わなければならないんだ。



毎年もらうたくさんのバレンタインのチョコも、

笑って『良かったね』と言いながら、一緒に食べなきゃ…ね。



それができないなら、先生の奥さんになる資格はない。




私の不安を理解してくれた先生は、それから変わってくれたんだ。


彼女の存在を生徒にもきちんと話してくれて、

私とのプリクラを携帯に貼ってくれた。




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