トイレの方向から物音が聞こえた。 俺は、またその手を振り払う。 「ごめん。俺は、もう迷ったりしないんだ。雅子さんもきちんと誰かと向き合う恋愛をした方がいい。俺は、力にはなれない。」 雅子さんが、ばいばいと小さな声で呟いた。 同時にトイレから足音が聞こえた。 直は話が終わるまで、待っていた。 そういう所も好きだ。 私の彼氏に手を出さないで!なんてあいつは一生言えないんだ。 控えめに でも、とても強く俺を愛してくれる彼女。 もう泣かせないよ。