クーラーのない部屋で 窓を開けたままひとつになった私と先生。 声を押し殺して抱き合うと、本当にひとつになっている感覚になった。 あんなに鳴いていたヤモリも、眠ってしまったのか、辺りは静かだった。 窓からの風が心地良く、私と先生はひとつになったまま窓の外を見た。 「月、見る?」 先生は私を抱き上げて、そのまま窓の方へと移動した。 窓から外を見ると、もう夜中なのになぜか明るかった。 夜道を照らす灯りも、東京とは違っていた。 オレンジ色をした灯りが今日の夕日を思い出させてくれる。