もう堂々と街を歩くことができるのに、

私も先生もまだ人のいない場所へ行く癖が抜けない。



「直、海行こっか?」


ホワイトデーの夜、向かった先は、思い出の海岸。


あの高校2年のクリスマスの夜…


クリスマスイヴによりを戻した私と先生は、翌日…


ここでで結ばれたんだ。

ひとつになったんだ。



たくさんのキスと先生の愛を体中で感じた。



あの夜と同じような美しい月が

私達を見守ってくれていた。



「さみぃ~!!ほら、こっちおいで。」


先生が車の後部座席にいつも置いている部活用の長いジャンパー。

2人でそれを羽織った。


もこもこの生地の裏地が頬に当たり、くすぐったかった。

先生の息で温められた私の手。


「直、あの時・・・俺、お前を抱くつもりなかったんだぞ!」


先生は、子犬のような上目遣いで私を見つめる。




夜風が先生の前髪を舞い上げる。


そのかわいいおでこにキスをした。



「あ!!!また俺のスイッチ入れる気だろぉ!!」


先生は、私のおでこにそっとキスをした。