「ふぅん…じゃああのコ鉱山区に居るのねぇ…」

胸を強調した鎧…カノーが、巨体をつついてニヤリとした。


「兄貴、早く行ってあげましょ。２週間も前に着いてるなら、あのコ…もたないわよぉ」

いかにも意味ありげにカノーは含み笑いをする。


鉱山区に隣接した商業区を歩く３人、様々な店の立ち並ぶこの区画だが、人影もまばらだった。


先頭を歩く巨体は、名をボルグという。
元々は北に住む種族、ゼウスの一人。

意味するは神々の生き残り…一回り大きい巨体が特徴だ。

この地の大半を占めるヒューマンの中ではどうしても浮いてしまう。

後ろを歩く２人の黒い鎧が師匠と仰ぐ人物である。
…弟子はもう一人いるが。


「この国には、黒い風が取り巻いている…感じることのできる者がいるかは分からんが」

「ここの国って機械には詳しい人多いのに、感覚的なことにはボケてるのよねぇ…」

カノーが肩をすくめてみせた。