「あいつらは避けれなかったよ、馬鹿にしてた僕に手も足もでない……ふっ、あはははっ!」


…………………………

弟がコワれてしまった、おそらくは…あの石のせいで。



「変貌ぶりに怖くなっちまった俺は、その夜もう一度鉱山へ忍びこんで…後をついてきてたオニキスと鉢合わせ、そこで落盤事故さ」

石が四肢を潰して大ケガを…下手をすれば死んでいたはずであった。

だけど死ななかった、なぜか。


ジェイドは一瞬何かに想いを馳せたようであった。


「死を察知した俺の身体は、…弟の、オニキスの生命力を根こそぎ吸いとってしまった…」

ギリッと噛みしめた唇から血がにじむ。


「どうしようもない兄貴さ…、弟の身体は肉片すら残さず消えてしまった…っ」


話によるとその時、身につけていた黒鉄の軽鎧は砕け散ったのだという。
おそらくはジェイドの潜在能力が黒鉄よりも、オニキスの死神の力よりも強すぎて…。


「砕け散った黒鉄の鎧がトレディアに吸い込まれていくのが見えた、…もしかしたら弟の魂もいっしょに…」


「ふむ…岩に押し潰されて、急速な肉体の再構築は不完全だったのでしょうね、生命力は補ったものの姿が変わってしまった」