九月一日、夏休み明けの教室は、いつにもましてにぎやかだ。
そんな中、奈々子は後ろの席でぽつんと一人、文庫本を読んでいた。だが、文章はまったく読んでおらず、クラスメイトをちらちらと観察していた。
みんな、夏休み中はかなり派手に頭を染めていたようで、金髪の子もいる。

「マジ、勉強した日とか一日もなかったし~」

床に座りこんで、げらげらと三人の女子が笑っている。

お団子頭が、風間理奈。茶色い髪をいつもふたつに結んでいるのが、徳山千尋、太めの体型をしているのが岩田さえだ。

三人とも足を広げて座っており、パンツが見えそうだ。
理奈たちは、そんなことおかまいなしで、話を続けている。

「おはよー」

後方のドアから、亀井愛華が入って来た。

「あれー、アキラめっちゃ肌黒くなってない?」

「沖縄に旅行に行ったんだ。お土産あげるよ」

「キャー、うれしーんだけど」

愛華が肩に手を置くと、アキラは目に見えてデレデレとしていた。