四時間目の授業が終わると、愛華がやって来た。

「谷ちゃん、お昼食べるから屋上に行こっ」

マリにきこえるように、愛華がわざと大きな声で言う。
うつむくマリを、横目に奈々子たちは教室を出た。

「零くんと食べなくていいの？」

隣のクラスの前を通りながら、亜美がきく。

「今日は、友達と学食で食べるって昨日言ってた。一応あとでメールチェックしといたけど、本当だったよ」

「えっ、もしかしてケータイ勝手に見てるの？」

千尋がおどろいた声をあげる。

「当たり前じゃん。一回裏切られてるんだから。なに、あたしがしてること間違ってるって言いたいの？」

愛華が眉間にしわをよせ、低い声で言うと、千尋はぶんぶん首を横にふった。