携帯電話を持つ手が、ブルブルと震える。

「なに……なんなのよこれうそでしょ?」

そのとき、まるで氷の塊が乗ったように腹部が冷たくなった。
奈々子は、はっとしてそこを見る。

――小さな小さな赤ん坊がいた。

死んだマリのお腹にいたため、体が腐ってしまったようで、皮膚がローソクのように白く、ぶよぶよしている。

「だあー」と地を這うような声をあげ、ハイハイしてこちらへ移動してくる。

「いやっ、来ないで!」

赤ん坊を叩き落そうするが、まるで手ごたえがない。

赤ん坊は羊水で濡れた体で、奈々子が手にした携帯電話にしがみついた。