――そのとき、奈々子は見た。
貯水タンクの後ろから、なにかが出てくるのを。
零は背中を向けているので、まったく気づいていない。
そのなにかが、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
肉が腐ったすさまじい悪臭がして、奈々子はうっと息を止めた。
臭いに気づいた零が、はっとして振り返る。
雲間からのぞく月が、それを照らした。
制服を着た女子生徒がこちらへ歩いてくる。
うつむいていたが髪型でわかった。
――マリ。
両手はだらりと下がっており、一歩進むと右に左に体が大きくかたむく。
「そ、そんな……なんでだよ!? おれはちゃんと十二時に懺悔したじゃないか! 見ろ、もう三分過ぎてるぞっ」
零が震える声をあげ、携帯電話の画面を見せてくる。
貯水タンクの後ろから、なにかが出てくるのを。
零は背中を向けているので、まったく気づいていない。
そのなにかが、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
肉が腐ったすさまじい悪臭がして、奈々子はうっと息を止めた。
臭いに気づいた零が、はっとして振り返る。
雲間からのぞく月が、それを照らした。
制服を着た女子生徒がこちらへ歩いてくる。
うつむいていたが髪型でわかった。
――マリ。
両手はだらりと下がっており、一歩進むと右に左に体が大きくかたむく。
「そ、そんな……なんでだよ!? おれはちゃんと十二時に懺悔したじゃないか! 見ろ、もう三分過ぎてるぞっ」
零が震える声をあげ、携帯電話の画面を見せてくる。

