なにか……なにかこの場をうまく切り抜けられる言い訳はないだろうか。

目を閉じて、泉の底に沈んだ記憶を両手ですくい取る。

そのとき、万引きしたことを悪びれもせずに話していた亜美のことを思い出した。

「万引き――」奈々子が急に口を開いたので、林がはっとした顔をする。

「万引きがどうしたんだい?」

「万引きをしていたんです。愛華ちゃんと亜美ちゃんは……。でも亜美ちゃんが今まで万引きしてきたお店の人たちから怨まれて呪い殺されるかもしれないから、警察に全部話すと言い出して……そしたら言い合いになって、怒った愛華ちゃんがイスで亜美ちゃんの頭を殴って……」