「どうせなら、女の子についてきてもらいたかった」

山崎が大げさに悲しんでみせると、一年生の二人はけらけらと笑った。

他愛のない話をしながら、廊下を歩いていると向こうに、ぼんやりと人影が見えた。

教師かと思ったが、よく見ると制服を着た髪の長い女子だった。

一人でぽつんと廊下に立っている。

なにをやっているんだろ、と山崎は首をかしげた。

「あの、そろそろ校門が閉まるから帰ったほうがいいよ」

歩きながら女子に声をかけた山崎は、うっと顔をしかめた。

なんだか、肉が腐ったような強烈な臭いがする。
後ろの一年生も、顔を見合わせて鼻をおさえていた。