「本当だと思う……」

トイレの手洗い場につくなり千尋がそうつぶやいたので、「え?」と奈々子はききかえす。

「谷ちゃんが言っていたこと、本当だと思う」

千尋は真面目な顔をしていた。

「死んだはずのマリからメールが送られてくるなんて、ありえないって思ってたけど、あのとき、さえはマリからメールがきたって言っていた。
それに理奈もさえも死ぬ前に、目が赤くなって、人が変わったみたいになってて……ぜんぶ、マリのメールのせいだって、思ったの」

死んだ二人のことを思い出したらしく、千尋が目を潤ませた。
やっと、信じてくれる人が現れたんだ。
のどにつまっていた重苦しい物が少し小さくなった気がした。

「あとさ、わたし、もう愛華ちゃんたちと一緒にいたくないんだ。愛華ちゃんが、あんなことしなければ、理奈もさえも死ななかったって思うとさ……。
だからさ、今日からわたしと一緒にいようよ」