事件があった翌日から、千尋は学校を休んでいた。
無理もない。短期間の間に友達が二人も亡くなったのだ。

千尋の心の傷は計り知れない。

理奈とさえの死を間近で見てしまった奈々子の心はひどく疲れ果てており、さらに、もしマリからメールがきたら……と考えると眠ることができなかった。

心配した両親が心療内科に連れて行こうとしたが、奈々子は断った。

予言のようなメールがきて、友達二人が死んでしまった、次は自分かもしれない、と話しても誰も信じてくれないだろう。

妄想、その一言ですべて片付けられるに決まっている。

胸に大きな石がつかえたような感覚がしていたが、奈々子は学校へ向かった。

教室に入ると、クラスメイトたちの表情には言い知れぬ不安が宿っており、熱で溶けたアメのような、べっとりとした重苦しい雰囲気が漂っていた。