アタシは肘をついたまま、 彼の仕草をじっと見ていた。 それまで少しも動かなかった彼の手が動く。 あ、わかったの? 彼は問題を解き始める。 彼の持つチョークから難しい数式が書かれて問題が解かれていく。 あ、そうか。 そういえばコイツ、 理数は強かったんだっけ。 黒板の前に背を向けて立っている伏見を見ながら思った。 アイツはきっとこんなにも悩んではいない…。 少なくとも今は目の前の数学に悩んでいる。 う。 また なんかイライラするような 哀しいような やりきれない感覚 …がする。