そして
何気なく伏見の方へ視線を移動させてみるけれど。
やっぱり。
彼は先輩の存在に気づいているのか、
いないのか、
何も動じていないようで自分の席で本を読んでいた。
「深草って!」
先輩がもう一度アタシの名前を呼ぶ。
「あ…、はい」
そう返事しながら慌てて廊下のほうへと急ぐ。
「どんな?考えてくれた?」
予想とおり、
返事のことだ。
どうしよう。
アタシはあれからだいぶ時間がたっているというのに、
先輩にまだ何も返事はしていなかったから気にしているのだろう。
自分的にはそこまで考える余裕もなくて。
でも、
返事はしないといけないから。

