でも多少のことじゃ、
へこたれません。
「伏見は何してんの?」
「なんで言う必要があんねん」
そう答え、
彼は自分の近くにある椅子や机をそっとどけて床を見つめる。
それきり彼はアタシと言葉を交わすこともなく、
今度はかがんで床を見つめる。
なにか、
探してるのかなあ?
教えてくれてもいいのに。
アタシはそんな彼の姿を見つめながらボソッとつぶやくように言った。
「いいやんか。ケチ」
もういいや、
アタシもアタシで忘れ物探しに来たんだから。
それにマユコも待ってるもん。
そして伏見に背を向けて自分の席に行こうとしたとき背中越しに声が聞こえた。
「…ジャンクのノートパソコンをこないだ分解してて…。
チップLEDを取り出してんけど。
せっかくよけて持ってたのに…、
なくなったから探してる」
「?…」
アタシはその声に机の中からプリントを取り出し、
急いで振り向いた。
彼の言ってることがよくわからなかったけれど、
とにかくなにかを探してる、
って事はわかった。

