「数学にしても化学にしても答えはひとつしかあらへんのに。
誰が答えを出してもそのひとつが正解やのに…。
だから国語ってキライやねん。
曖昧でいい加減で…」
あー、また始まった。
わからなくなると伏見はいつもそう言うのだ。
彼は問題の書かれたプリントを眺めてシャーペンを右手で器用にくるくる回している。
うーん…。
プリントは見ているけどあの感じは決して頭までは内容が届いていないって感じだ。
「でも、そういう勉強して書かれてる文章の行間から作者の気持ちとか、
読み取るって大事なんやから。
それって普通に人間関係でも大事なことやん?」
アタシは彼の動く右手を見ながらゆっくりと説明する。

