今更遅い。
もうだいぶ切っちゃった。
それにここまで切ってしまったのなら、
中途半端に置いておいたほうが格好悪い。
はじめは勢いで切っていたけれど
そのうち気持も落ち着き始め、
でも
それでもアタシは髪を切る手を止めることはなかった。
冷静になってゆくアタシと比例して、
どんどん床に落ちていく髪を見ながら
伏見はますます慌ててアタシが
持っているハサミを取り上げようとした。
「止めろって言ってるやろっ!」
とうとう伏見はアタシに怒鳴る。
なに、言ってんのよ。
嫌がってんのは伏見の方でしょっ!
「離してやっ!」
アタシも思わず怒鳴り返す。
そんなアタシの声に伏見はハサミを取り上げようとするのを止めて、
情けない声で答える。
「…なんでそこまですんねん…」
アタシもその声にハサミを持つ手を下ろして彼を見つめる。
すると伏見は再びハサミを髪に入れないようにするためなのか、
アタシが下ろした手にあったハサミをぐっと掴んでいた。

