樹里の家に着くと、樹里は家の外にいた。


「……一樹…」


「ははっ…うちのお母さん買い物行っちゃって……鍵持ってなくて…馬鹿みたい…私…」


涙目で無理に笑おうとする樹里。


見てるだけで、辛い。


「あ、そうだ。一樹家庭教師ね、止めようかなって。ほら、私もそろそろ勉強したいなぁって。だから「止めんなよ」


樹里がペラペラ喋るのを遮って俺が話し出す。


そんな気まずい風に樹里と話すことは無かったけど、俺の口は驚くほど性能が良かったようだ。

すらすら言葉が出てきた。


「俺さ、読んだんだ。樹里の日記。でも、やっぱ樹里の気持ちには答えられない」


「俺、やっぱ…好きなヤツいるから。本当ごめん」