パサッ……


横を見ると、樹里が傘を落としていた。



「どした?」



樹里は何かボソッと言って走って家の中に入っていった。


「ねぇ、一樹くん…追いかけなくて…いいの?あの人…きっと…」


美保はそこまで言うと、それから何も言わなくなってしまった。


俺は、追いかけることも出来なくて。


ただ…立ち尽くしていた。