お腹が痛いので、さすりながら問い掛けてみました。


「痛いよ、どうにかならんかね」


するとどうでしょう、お腹がばっくりと裂けて、中からうにょんと生き物らしき何かが出てきたではありませんか。


「わあ、驚いたな」
「驚かれましたか」
「ああ、驚いたとも。君は一体何かね」
「何かと聞かれましても難しいですが、強いて言うなら腹痛の虫でしょうか」


何と、腹痛の虫と答えるではありませんか。
肉塊をそのままぐいっと伸ばしたような体の先にちょこんと付いている腹痛の虫の口が、ちょこちょこと、忙しそうに動いています。
そのたびに、わたしのお腹はちくちくと痛むのです。


「お腹が痛いので、どうにかならんかね」
「わたしに言うのはお門違いですよ」
「それもそうか」


ははは、と笑い合って、ふと新しい疑問が生まれました。
わたしのお腹は裂けているのです。
さて、腹痛の虫をどうにかしたとして、裂けたお腹はどうにかなるのでしょうか。
腹痛薬の箱に、疑問が解消される効能が書いてあることだけを祈りました。



44,腹痛の虫【エンド】