メイドの白い太腿が露わになっていた。


膝を曲げグレースーツに絡ませて、その手は男の眼鏡を外そうとしている。


壁に背をつけている男は、少々眉を寄せて立っているだけ。



「あら」



目の前の男に夢中になっているかと思われたが、来訪者に気がつき、その白い脚を伸ばす。


そのまま馴れたような仕草でスカートの皺を伸ばし、グレースーツの主から離れた。



何食わぬ顔で、ドアへと歩いてゆく。



「失礼します、お嬢様」



紅い唇を震わせ、甘ったるい香りを漂わせて、彼女は足音を立てて廊下へと消えていった。



「お邪魔だったかしら?」



ドアの前に立っていたツィツェーリエが小首を傾げなら問うものの、返事は「いえ」と小さくひとこと。



二人だけになった部屋のドアを閉め、ツィツェーリエはゆっくり歩を進める。